古物商許可申請における「略歴書」の書き方

古物商許可申請

古物商許可申請の提出書類には、「略歴書」という書類があります。

申請者(法人役員全員)と管理者は、必ず提出しなければなりません。

法人で古物商許可を申請する場合、役員の経歴が極端に多かったり、経歴に空白期間がある場合など、どのように記載したらいいのか困っている人もいるのではないでしょうか?

今回は、古物商許可申請における「略歴書」の書き方についてみてみたいと思います。

様式はどうやって用意するの?

略歴書」の様式は、営業所の所在地を管轄する警察署でもらうことができ、都道府県公安委員会のホームーページからもダウンロードすることができます。

古物商許可申請における「略歴書」には決まった様式はありません。そのため、都道府県公安委員会ごとに、記載事項に違いがあります。

提出する都道府県公安委員会ごとの様式をしっかり確認のうえ、記載漏れのないよう注意してください。

略歴書って何を書けばいいの?

古物商許可申請における「略歴書」は、履歴書や職務経歴書ほどの詳細は求められません。
最近5年間経歴を記載すれば足ります。
5年以上前から経歴に変更がない場合は、その経歴の開始年月から記載します。

記載する5年間については、フリーターや無職などの期間も含め、空白期間ができないよう記載し、活動内容なども併せて記載するとよいでしょう。
就職して5年間を経過していない場合には、学生期間も含め、5年間遡った期間を記載すれば足ります。

経歴の最後に「以後、現在に至る。」と記載すれば、略歴書の経歴内容は完成です。

「略歴書」の記載例

事例の様式は、東京都公安委員会のものを用いています。
(都道府県公安委員会ごとに様式は異なりますので、事前に確認が必要です。)

5年さかのぼったら無職期間だった(事例 図➀)

上記の事例において、申請日(令和1年4月)より5年遡ると平成26年4月です。
しかし、平成26年4月時点で申請者は、「無職」(就職活動期間)です。

このような場合は、平成26年4月以前の最終学歴から記載するとよいでしょう。

略歴の空白期間は作らない(事例 図②)

古物商許可申請における「略歴書」には、空白期間がないよう記載する必要があります。

「就職活動」、「転職活動」、「専業主婦」、「技術習得のため勉強」など、活動内容等を記載してもよいと思われます。

判断に困ったときは、専門の行政書士に相談してみるのもよいでしょう。

「作成年月日」「住所」「氏名」記載の注意点(事例 図③)

「略歴書」の最後に、「作成年月日」、「住所」、「氏名」を記載します。

古物商許可申請において提出する必要書類は、

「いずれも、作成日付申請日から3か月以内のもの」を用意しなければなりません。

「略歴書」の作成日付についても同様に、申請書の提出日から3か月以内でなければなりませんので注意してください。

「住所」については、住民票どおりの記載が必要となります。
事前に住民票を取得し、記載間違いのないよう記入しましょう。

「氏名」については、記名押印もしくは署名が必要です。くれぐれも、シャチハタによる押印は認められませんので、しっかりと印鑑を用意しましょう。

極端に多い経歴の持ち主は?

最近5年間の経歴を記載するうえで、極端に多い経歴の役員がいる場合にはどのように対応するべきなのでしょうか?

例えば、数社の取締役に就任した人や、部署異動を重ねた人などは、記載内容がかなりのボリュームになってしまうのではないでしょうか?

記載する5年分の経歴については、出来る限り詳細に記入することが望ましいのですが、1枚の様式に書ききれない場合もあると思います。

最も良い手段としては、「別紙」を添付するなどといった方法で、出来る限り詳細な経歴を記載するとよいでしょう。

1人分の経歴を、2枚の様式に分けて記載してしまうと、2人分の略歴書を提出したと勘違いされる可能性もありますので別紙の添付をおすすめします。

対応に困った場合には、管轄の警察署や専門の行政書士に相談するのも良いでしょう。

どうして5年間遡るの?

古物商許可の欠格事由において、5年の経過が必要な項目は次の4つです。

  • 罪種を問わず、禁錮以上の刑に処せられた者で、刑の執行が終了してから5年が経過していない者
  • 刑の執行を受けなくなって5年が経過していない者
  • 古物営業法のうち、無許可、許可の不正取得、名義貸し、営業停止命令違反で罰金刑が確定してから5年を経過していない者
  • 刑法のうち、窃盗、背任、遺失物横領、盗品等有償譲受け等の罪により罰金刑が確定してから、5年を経過していない者

5年以内に、このような欠格事由に該当してしまった場合、古物商許可申請はできません。

「略歴書」で最近5年間を記載する理由は、欠格事由に該当していないかを確認するためでもあります。くれぐれも、虚偽の記載はしないようにしましょう。

管理者の経歴には気を付けて

「古物営業法施行規則 第14条」には、管理者に得させる知識等について規定されています。

その内容は、以下の通りです。

  • 自動車、自動二輪車又は原動機付自転車を取り扱う営業所の管理者については、不正品等を見分けるために必要とされる知識、技術または経験があること。
  • 知識、技術または経験を必要とする古物営業の業務に3年以上従事した者が通常有する程度の知識、技術を得ている者

【古物営業法施行規則 第14条】

警察署によっては、自動車や自動二輪車を扱う内容の申請の場合、管理者に知識、技術、経験があるのか確認される場合があります。

時計・宝飾品を取扱う申請についても、管理者に「目利き」があるかを確認される場合もあります。

管理者には、適任者を選任することをおすすめします。

しかし、古物営業の従事経験や古物営業に対する知識、技術、経験を持っている人材がいない場合は、古物商許可申請はできないのでしょうか?

このような場合でも、古物商許可を取得できる可能性は十分にあります。

「古物商は、管理者に、取り扱う古物が不正品であるかどうかを判断するために必要な知識、技術、経験を得させるよう努めなければならない」

【古物営業法 第13条 第3項】

このように、古物営業法では、管理者への教育を行うことについて、努力義務を定めています。

古物営業の従事経験等がない場合でも、講習を受講するなど、知識、技術を習得する手段を講じることにより対応することもできます。

判断に迷う場合は、管轄の警察署や専門の行政書士に相談してみるのもよいでしょう。

まとめ

  • 「誓約書」の様式は、管轄の警察署もしくは公安委員会のホームーページより取得できる。
  • 最近5年間の経歴が必要で、空白期間ができないよう記載する。
  • 住所は「住民票」どおりの記載。
  • 氏名は、記名押印もしくは署名が必要で、シャチハタによる押印は認められない。
  • 管理者は、知識、技術、経験を求められることもある。