古物営業法における古物とは・・・?

古物営業法

これから古物商許可申請を考えている人、あるいは、古物商許可を取得したけど、「古物」に該当する具体的な「物品」がよくわからない人もいるのではないでしょうか?

「古物」に該当する物品は、「古物営業法」、「古物営業法施行規則」に定義されています。これらをしっかりと理解するには、法律用語に不慣れな人にとっては一苦労することでしょう。

しかし、実際に古物営業を営むにあたっては、「古物営業法」、「古物営業法施行規則」といった法律に対する理解も必要となります。
今回は、法律上の「古物」について書いてみたいと思います。

古物ってどんなもの?

古物営業を営むうえで取扱う「古物」とはどのような物なのでしょうか?
「古物」と聞いて「中古品」をイメージする人も多いのではないかと思います。
確かに「中古品」は「古物」に該当します。
法律上の「古物」とは、「古物営業法 第2条」に定義され、次のように書かれています。

古物とは、

一度使用された物品、もしくは、使用されない物品で使用のために取引されたもの、または、これらの物品に幾分の手入れをしたもの』。

では、その内容についてみてみたいと思います。

一度使用された物品

「一度使用された物品」とは、 その「物」本来の目的に従って一度でも使用されたもので、自分で使用したものも「古物」に該当します。

使用されない物品で使用のために取引されたもの

「使用されない物品で使用のために取引されたもの」とは、 たとえ新品であっても、使用する目的で購入したが、一度も使用していない状態のものをいいます。

これらの物品に幾分の手入れをしたもの

「これらの物品に幾分の手入れをしたもの」とは、どのようなものなのでしょうか?
「一度使用したもの」や、「使用する目的で購入したが、一度も使用していないもの」に、本来の用途や性質を変化させないまま、補修や修理を行ったものをいいます。

「一度使用されたもの」、「一度も使用されないまま取引されたもの」または、「これらのものに幾分の手入れをしたもの」が、法律上「古物」と定義されています。
そして、「古物」は「古物営業法施行規則」により、13品目に分類されています。

古物13品目

「古物」は、「古物営業法施行規則 第2条」に定義され、13品目に分類されています。13品目に該当しない物品は「古物」ではありません。

13品目に分類される具体的な物品について、以下に示します。

美術品類
(:鑑賞して楽しむもので、美術的価値を有しているもの。)
[例] 絵画、書、彫刻、工芸品、登録火縄銃、登録日本刀 など

衣類
(:繊維製品、革製品等で、主に身にまとうもの。)
[例] 着物、洋服、その他衣料品、敷物類、テーブル掛け、布団、帽子、旗 など

時計・宝飾品
(:そのものの外見的な特徴について使用する者の嗜好によって選択され、身に着けて使用される飾り物。)
[例]時計、眼鏡、宝石類、装飾具類、貴金属類、模造小判、オルゴール など

自動車
(:自動車、および、その物の本来的用法として自動車の一部として使用されるもの)
[例]自動車、自動車の部分品(タイヤ、バンパー、カーナビ、サイドミラー など)

自動二輪車及び原動機付自転車
(:自動二輪車、原動機付自転車、および、その物の本来的用法として自動二輪車、および、原動機付自転車の一部として使用されるもの)
[例]自動二輪車、原動機付自転車、二輪車の部分品(タイヤ、サイドミラー など)

自転車類
(:自転車、および、その物の本来的用法として自転車の一部として使用されるもの)
[例]自転車、自転車の部分品(空気入れ、かご、サドル など)

写真機類
(:プリズム、レンズ、反射鏡等を組み合わせて作った写真機、顕微鏡、分光器等)
[例]カメラ、レンズ、ビデオカメラ、望遠鏡、双眼鏡、光学機器 など

事務機器類
(:主として計算、記録、連絡等の能率を向上させるために使用される機械および器具)
[例]レジスター、タイプライター、パソコン、コピー機、ファックス、シュレッダー、計算機 など

機械工具類
(:電機によって駆動する機会および器具、ならびに、他の物品の生産、修理等のために使用される機械および器具のうち、事務機器類に該当しないもの)
[例]スマートフォン、タブレット、工作機械、土木機械、医療機器類、家庭電化製品、家庭用ゲーム機、電話機 など

道具類
(:上記(➀から⑨)および下記(⑪から⑬)に掲げる物品以外のもの)
[例]家具、楽器、運動用具、CD、DVD、ゲームソフト、玩具類、トレーディングカード、日用雑貨 など

皮革・ゴム製品
(:主に、皮革またはゴムから作られている物品)
[例]鞄、バッグ、靴、毛皮、化学製品(ビニール製、レザー製)

書籍
[例]文庫、コミック、雑誌 など

金券類
[例]商品券、ビール券、乗車券、航空券、各種入場券、各種回数券、郵便切手、収入印紙、株主優待券 など

このように、「古物」には13品目の分類があり、該当する「物品」の売買を行う場合には、「古物商許可が必要になります。

「古物」に該当しない

これまで、「古物」に該当するものについてみてきましたが、では、「古物」に該当しないものにはどのようなものがあるのでしょうか?

「古物営業法」の目的は、『盗品等の売買の防止や盗品等の速やかな発見等を図るため、古物営業に係る業務について必要な規制等を行うことにより、窃盗その他の犯罪の防止を図ること』です。そのため、盗難される可能性が低い「物品」や、盗難されても容易に発見することができる「物品」は、「古物」に該当しません。
また、本質的な変化を加えなければ使用できない「物品」や、使用することにより消費してしまう「物品」も「古物」には該当しません。
「古物」に該当しない物品には、次のような物があります。

総トン数が20トン以上の船舶

航空機

鉄道車両

重量が1トンを超える機械で、容易に運搬ができない状態にあるもの

重量が5トンを超える機械で、自走や運搬ができないもの

庭石

石灯籠

消費して無くなるもの
[例]化粧品、薬品、サプリメント、お酒、食品 など

本来の使用用途、性質を変化させたもの
[例]洋服をリメイクしてバッグにしたもの など

原材料になるもの
[例]空き缶類、金属原材料、古新聞、被覆いのない古銅線類 など

再利用せずに捨てるもの
[例]廃品、一般ごみ など

実体がないもの
[例]電子チケット Amazonギフト券 など

このような「物品」の取扱いには、「古物商許可は必要ありません

まとめ

・一度でも使用されたもので、新品であっても使用するために取引されたもの、使用用途や性質を変えないまま補修・修理された物品は「古物」に該当します。

・一見「古物」と思われるものでも、「古物」に該当しないものもあります。

・古物営業を営むうえで、「古物」への理解は大変重要です。 判断に迷ったら、専門の行政書士に相談してみることをおすすめします。