象牙を取り扱うには特別国際種事業登録が必要

注目のトピックス

古物営業を営む上で、取り扱う古物によっては、古物商許可以外にも事業者登録が必要となる場合があります。

今回は、古物営業を営む上で、象牙製品を取り扱う場合には、必ず登録しなければならない『特別国際種事業の登録』について触れてみたいと思います。

象牙の取り扱いについて

1990年、ワシントン条約(CITES:絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)の下で、国際的に象牙の輸出入が原則禁止となりました。

日本では、ワシントン条約の実効性を高めるため、1992年に「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)」を制定し、違法な象牙の国内取引を防止するための管理制度を設け、適切な運用に努めています。

「種の保存法」に基づき、象牙及びその加工品等を取り扱う事業者は、「特別国際種事業者」として、登録機関である「一般財団法人自然環境研究センター」への登録が必要です。

個人の財産処分などの目的で、象牙製品を販売する場合や、個人的な利用を目的とした購入については、「特別国際種事業の登録」は必要ありません。

象牙製品等の取引(有償、無償を問わず)を業として行う場合に、「特別国際種事業の登録」が必要となります。

「特別国際種事業の登録」とは

特別国際種事業を行なう者(特別国際種事業者)とは、「象牙製品や象牙の加工品すべてに対し、これらの製品の取引を業として行う者」をいいます。

「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)第12条第1項4号」で規定される「特別特定器官等」に該当する、象牙を取り扱うには、あらかじめ環境大臣及び経済産業省に登録を行うことが必要となります。

取り扱う象牙については、全形象牙全形を保持していないカットピースその他加工品全て該当します。どんなに小さな加工象牙でも、象牙を用いた製品を取り扱う以上、登録が必須となります。

事業者については、個人、法人を問いません。

象牙を使用した製品とは?

古物営業を営む上で、取り扱う可能性のある象牙製品にはどのような物があるのでしょうか?

象牙を使用した製品には主に、彫刻品、細工物、アクセサリーがあります。

古物の分類では、美術品類、時計・宝飾品、道具類に該当してくるのではないでしょうか。

具体的な象牙を使用した商品には、次のような物があります。

古物の分類 製品
美術品類 全形象牙(彫刻)、置物(仏像、像)、他
時計・宝飾品 アクセサリー(ネックレス、ペンダント、イヤリング)、他
道具類 麻雀牌、印鑑、根付、パイプ、くし、へら、数珠、
三味線の撥 茶道具、箸、サイコロ、他

上記以外にも、象牙を使用した製品には様々な物があります。

「特別国際種事業の登録」をしていない場合には、象牙を使用した製品を取り扱うことができませんので、十分注意しましょう。

全形象牙の取引には登録票が必要

カットピースや一部加工品以外の、生牙、磨牙、彫牙など全形象牙の取引については、製品ごとに登録票が必要となります。登録票のない全形象牙の取引を行った場合には、罰則がありますので、注意が必要です。

環境省で全形象牙の登録を受けると、「登録票(国際希少野生動植物種登録票)」が交付されます。

取引の際には、交付された登録票と共に譲渡し等を行うことで、適法に取引を行った証明となります。登録票が付されていない全形象牙等を取引した場合には、違法な取引とみなされてしまいます。

全形象牙の登録には、象牙を取得した経緯を説明する必要もあり、2019年夏からは審査がより厳格化される予定です。

登録票がない全形象牙の取引を行った場合、譲渡した人、譲受けた人の両者に罰則があります。

・個人の場合:5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またはその両方
・法人の場合:1億円以下の罰金

今後、未登録の全形象牙の処分を検討している人は、はやめに登録票(国際希少野生動植物種登録票)を取得しましょう。

「特別国際種事業の登録」をしなかった場合の罰則

「特別国際種事業の登録」をしないまま、象牙製品等の取引を行った場合や、虚偽の登録を行った場合には罰則を受けることとなります。

・個人の場合:5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またはその両方
・法人の場合:1億円以下の罰金

象牙製品等の取引を業として行う場合には、必ず、あらかじめ「特別国際種事業の登録」をしましょう。

「特別国際種事業の登録」手続きが負担の場合には、行政書士に相談することをおすすめします。

「特別国際種事業の登録」にかかる費用

「特別国際種事業の登録」には、登録免許税、登録手数料が必要となります。

・登録免許税 : 90,000
・登録手数料 : 33,500円(新規登録

登録の手続きについて、行政書士等に依頼する場合は、代行手数料も必要となります。

代行手数料については、事前に依頼する行政書士等に確認しましょう。

「特別国際種事業の登録」は更新が必要

「特別国際種事業の登録」には、一定の要件を満たす必要があります。

一定の要件については、時間の経過により変動する性質のものもあり、要件に合致しなくなった場合には、登録取消し等の処分を受ける場合があります。そのため、「特別国際種事業の登録」には5年間の有効期間があり、有効期間満了ごとに更新の手続きを行わなければなりません。

更新の手続きについては、更新ごとに32,500円の登録更新手数料が必要となります。

更新手続きを怠った場合は、自動的に登録が失効してしまうので、注意しましょう。

まとめ

・古物営業を行う上で、象牙を使用した製品を取り扱う場合には、「特別国際種事業の登録」を必ず行わなければならない。

・「特別国際種事業の登録」は5年の有効期間があり更新が必要
・「特別国際種事業の登録」が負担の場合は、行政書士に依頼するとよいでしょう。
・「特別国際種事業の登録」は、登録免許税90,000円、登録手数料33,500円かかる。