古物商許可申請で必要な「身分証明書」

古物商許可申請

古物商許可申請では、3つの証明書の提出が必要です。

・住民票
・身分証明書
・登記されていないことの証明書

今回は、間違った認識をしている人も多い「身分証明書」について触れてみたいと思います。

古物商許可申請で必要な身分証明書は本人確認書類じゃない

古物商許可申請の提出書類である「身分証明書」を準備するため、運転免許証、健康保険証などといった書類のコピーを用意した人もいるのではないでしょうか?

古物商許可申請で提出する「身分証明書」は、本人確認のための書類ではありません。

申請者の本籍地がある市区町村の長が発行する、次の3つの内容を証明する書類です。

・禁治産または準禁治産の宣告の通知を受けていない
・後見の登記の通知を受けていない
・破産宣告または破産手続開始決定の通知を受けていない

禁治産・準禁治産ってなに?

禁治産とは、「心神喪失の常況にある」ことをいい、準禁治産とは、「心神耗弱(しんしんこうじゃく)および浪費癖」のことをいいます。

1999年12月の民法改正(2000年4月施行)により、禁治産、準禁治産の制度は廃止となりました。現在は、成年後見制度に移行し、「精神上の障害のために判断能力を欠く状況、判断能力が不十分な状況」をいいます。

後見登記とは

裁判所の審判を受け「後見登記等ファイル」に登記(登録)することです。

精神上の障害を理由に後見制度の適用を受けるためには、登記が必要となります。

破産宣告・破産手続開始の決定

「破産宣告」は、2004年(平成16年)の(新)破産法の制定により、「破産手続開始の決定」に改められました。

破産者であって、「免責許可の決定」、「破産手続廃止の決定」による「復権」を得ていない状況の人をいいます。

古物商許可申請の場合、免責許可の決定等によって「復権」を得られれば、すぐにでも申請することが可能です。

「身分証明書」はどうやって取得するの?

身分証明書は、本籍地がある市区町村役場の戸籍課等で取得することができます。
請求できるのは本人で、代理人が請求する場合は「委任状」が必要となります。
本籍地の市区町村に居住していない場合でも、郵送による請求をすることができます。
ただし、取得までに数日から1週間程度かかることもありますので、時間に余裕を持って請求することをおすすめします。

古物商許可を申請する場合、「身分証明書」は申請者(法人役員)と管理者全員分の提出が必要です。

本籍地が遠方だと、取得に一手間かかります。
急いで古物商許可を取得したい場合や、取得の手間が負担に感じる人は、専門特化した行政書士に依頼するのもよいでしょう。

本籍地が無い外国人でも大丈夫

申請者や法人役員が外国人の場合、日本に本籍地が無いため「身分証明書」を取得することはできません。

古物商許可申請において、必要書類である「身分証明書」が取得できないと、古物商許可申請もできないのではと思われる人もいるかもしれませんが、申請は可能です。

外国人の場合、「身分証明書」の提出が不要となったり、代わりとなる書類の提出を求められることがあります。
事前に管轄の警察署に確認するか、専門の行政書士に相談するとよいでしょう。

「身分証明書」が必要書類の理由

古物商許可は、欠格事由に該当してしまうと取得することができません。
古物営業法 第四条 第1項は、

「成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの」

と定めています。

つまり、成年被後見人、被保佐人、破産者に該当しないことが申請の条件となります。
「身分証明書」を準備することにより、古物営業法に定められている欠格事由に該当していないことを証明できることになります。

まとめ

・「身分証明書」は本人確認のための書類ではない。
・「身分証明書」は、本籍地のある市区町村の役場で取得できる。
・「身分証明書」は、欠格事由に該当しないことを証明する書類。
・申請者(法人役員)と管理者全員分の提出が必要
・急いで古物商許可を取得したい場合や証明書取得の手間が負担の場合は、専門特化した行政書士に相談することをおすすめします。